12月10日は「世界人権デー(Human Rights Day)」

皆さん、こんにちは!ファイナンシャル・アドバイザーの板津由華です。

■世界人権デーにウクライナを想う

今日は、何の日だか知っていますか?そう、今日は「世界人権デー(Human Rights Day)」です。

1948(昭和23)年の12月10日に、パリで行われた第3回国連総会で「世界人権宣言」が採択されました。「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」という文言で始まるこの宣言はとても有名ですね。

そして、世界人権デーは、「世界人権宣言」の採択から2年後の1950(昭和25)年の12月10日に国連総会で制定されました。

しかし、それから約70年経ったこの2022年はどうでしょうか?

2022年2月には、ロシアが隣国のウクライナに侵攻し、ヨーロッパ諸国を始めとして、全世界に大きな衝撃を与えました。

2022年12月現在もこの戦争は終結していません。北方のウクライナの人々は街や家、病院やエネルギー施設をミサイルによって破壊され、ひどく厳しい冬を家もなく、電気もなく、暖房もなく、ケガや病気を治療できる施設もない中で越さなければならない状況に置かれています。先日は、病院が爆撃されたことにより、生後2日の赤ちゃんが死亡したそうです。家族の悲しみはいかばかりであったでしょうか。

■戦争が引き起こす貧困

戦争は、人権が軽視され、さらには家や財産、仕事を失い、人々に貧困をもたらします。このような戦争は、ウクライナだけでなく、紛争といった小中規模レベルでは、中東やアフリカといった地域でも頻発し、助けを求める多くの人々が世界中に存在しています。

地国連開発計画(UNDP)は2005年の人間開発報告書で、貧困と武力紛争の悪循環を絶つよう国際社会に訴えました。1990年以降、武力紛争の半数以上が途上国で起こり、そのうちの約40%はアフリカ地域で発生しています。

国が貧しいほど武力紛争に苦しむ可能性は高くなり、1人当たりの年間所得が250ドル以下の国が内戦へ突入する確率は、所得が600ドル以上の国の2倍に上るそうです。貧困は紛争を誘発し、紛争によって貧困状態が深刻化するという負のスパイラルが起こるのです。戦争や紛争は絶対に止めなければなりません。

■イラクの子どもの4人に1人が貧困

ユニセフは、イラクの子どもの4人に1人が紛争と貧困の影響を受けていると発表しました。子どもは最も弱い立場です。2017年の報告では、紛争の影響で深刻な暴力を受けている子どもが400万人以上存在し、年間で270人の子どもが殺害されました。子どもたちが紛争の前線で戦闘に参加することを強制されているのです。このようなことはあってはならないことです。

武力紛争は、人々の暮らしを根底から変えてしまいます。仕事をしたり学校に行くことができなくなり、安全な生活を奪われます。現在のウクライナの人々がそうであるように、家や財産を捨てて、住み慣れた土地から避難しなければなりません。時には家族とも苦しい別れを経験することもあるでしょう。こうした状況に置かれた人々は、極度の貧困状態に陥ってしまいます。世界人権宣言では平和の大切さや生きる権利、仕事をしたり教育を受ける権利がすべての人に平等にあると述べられています。戦争や紛争はそれらの権利と自由を人々から奪っているのです。

■日本と他国との領土争い

こうした世界で起きている戦争・紛争は、日本に全く関係ない訳ではありません。日本は、南西地域を中国・韓国と争っていますし、ロシアとの北方領土問題も解決していません。日本もいつ戦争が起こってもおかしくない状態なのです。

また、間接的にも影響を受けています。世界的なエネルギー供給国であるロシアと日本を含む先進国諸国との対立により、電気代・ガス代などが高騰し、家計を圧迫しています。また、輸入価格が上がり、食料品や日用品の大部分を輸入に頼っている食料自給率の低い日本にとっては苦しい状況が続いています。

これらの影響を最も受けるのは誰でしょうか?一般家庭はもちろんですが、特に年間所得が200万円未満の母子・父子世帯、収入が年金のみの高齢世帯、そして、生活保護世帯などです。

このような世帯は、食品や日用品の高騰の影響を最も受けやすい弱い立場にあります。そして、その世帯の子どもたちにしわ寄せがいき、給食費の滞納や、進学の断念など、子どもたちの人権を脅かす事態が深刻化しているのです。

■日本の政府はいったい何をしているのか?

そんな中、日本政府は何をしているのでしょうか?国の防衛レベルを大国ロシアやアメリカ並みの水準に引き上げるよう、防衛費を増大させるため、法人税、所得税、消費税、さまざまな増税を検討しています。

しかしながら、東日本大震災後に始まった復興特別所得税や、消費税を10%へ引き上げた際の増税分、そして、コロナ支援のために集めた支援資金の多くが現在もまだ使途不明金となっています。一体これらのお金はどこへ消えたのでしょうか。そして、そのような使途不明金が多い中で、はたして増税をするべきなのでしょうか。

わたしたちは、世界の情勢を見ながら、戦争や貧困について向き合っていかなければならないと共に、もっと自国の政治の在り方にも目を向けていかなければならないのではないでしょうか?

国は、国民のお金を集めて運用する、いわば「ファンドマネージャー」のような存在です。ファンドマネージャーの投資先や収支が不明確で良いのでしょうか?そして、その不透明な投資先に、わたしたち国民は投資をし続けても良いのでしょうか?

わたしたちの大切なお金を守るためにも、ぜひ視野を広げてこうした問題にも目を向けてみましょう。

ファイナンシャル・アドバイザー 板津由華

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

ロシアのウクライナ侵攻から1年

20代・30代の家計の見直しポイント

リモート相談でFPが身近な存在に。

PAGE TOP
PAGE TOP